2005年09月05日

泥棒! 

あれは2002年の2月の初めでした。当時住んでいたのはイスタンブルのアジア側、住宅街ではあるけどつつましいアパートの2階、築25年位で、電話回線が壁にジャックを挿すのではなく、玄関の壁に穴を開けてそこから通してきてあった、電気のコンセントも入居時には死んでるものがいくつもあったといえばどんな感じか想像ができるでしょう。

所用で残業が続いて帰りが遅い時期で、ある晩10時過ぎに帰ったら玄関ホールにブレザーが乱れて置いてありました。男の一人暮らしとはいえ、玄関まで服をちらかすほどではありませんでした。

寝室へ入って寒気がしました。引き出しが全部開けられ、中のものが片っ端から床に散らばっていて、ベッドマットもずらした様子が見て取れました。隣の部屋の電気をつけると、バルコニーに出るドアのガラスが割られていて、犯人がそこから侵入したのが分かりました。風に揺れるカーテンが不気味でした。すぐに上下の住人に知らせて、警察にも通報。10時半近くでした。

後から分かったのですが、被害はもう処分しようと思っていたブーツ、色が明るすぎて着ないでいた夏物ズボン、ちょっと悔しい新品のセーター、ストーブで焼いて壊れてしまった腕時計、VCDプレーヤでした。金目のものの被害はゼロ。こんなのばかりでご苦労な泥棒でしたが、僕にしてみれば犯人と鉢合わせにならなかったのが、幸いでした。

「すぐに警官をよこす」との返事は11時をかなり過ぎてから現実のものとなりました。警官は部屋の中を一回りすると、
「調書を取るので署まで来ていただく」
「調書は被害現場で取るものでしょう?」
「署でないと取れない」・・・これは解せないが、さからうこともできない、仕方がない。気乗りしないまま初めてパトカーに乗って警察署まで行きました。

調書作成が終了したら、11時半を過ぎていました。
「ご足労様でした。お帰りいただいて結構です。」
「じゃあ、送ってもらえるようお願いしてもいいですか。」
「あいにく人も車も都合がつかなくて、申し訳ない。鑑識が12時までに来ます。来なければ、それ以降はご近所のご迷惑にならんよう、朝8時ごろお邪魔することになります。」

ちぇっ、なんてこった。冬の夜中に警察署の前でタクシーを拾って家に帰ったものの、鑑識が来るまでは家の中を片付けることもできず、薄気味悪くて寝る気にもなれません。仕方がないので、家中の電気をつけてテレビを見ていました。

すると、2時過ぎにピンポ〜ン! と訪問者の様子。怪訝に思い下を見やると、「鑑識」というぶすっとした声が聞こえました。二人連れでした。(おいおい、近所迷惑、うちの迷惑はどうなるんだぁ?)あちこち粉をはたいてみたものの指紋は検出されず、鑑識は報告書に僕のサインを取ると帰っていきました。

泥棒、夜半前の警察、草木も眠る丑三つ時の鑑識、荒らされた部屋の中・・・差し迫る危険はなくとも、気分の悪さは極限でした。

事件後、折しも契約更新の時期でもありすぐに引越してやると思っていたのに、当時かじっていたフランス語の講座やら日本出張やらで引越しの時期を逸してしまい、またその年は大家と家賃の交渉もまとまってしまって、結局更に一年そこに住んだのでした。気分は悪かったけど、もうここに入ろうとするおろかな泥棒はいないだろうという確信めいた思いもありました。外国人だから金持ちだと万が一思ったのなら、泥棒さんよ、大誤算なのだ!
posted by ムフテリフ at 21:21| 東京 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | トルコ回想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。

パリも泥棒がすごく多いようですが、私は泥棒被害には幸運なことに一度も会ったことがないです。
体験談を聞くたびに震えてしまいます。
泥棒に入られた後、その部屋で寝泊りって本当に気持ちが悪いですよね。引っ越した翌週に空き巣に入られ、またすぐに引っ越した友人もいました。
被害にあった別の友人は、警察へ調書を取りにいったら他にも被害者がいて、壁を壊して入られたという人がいたそうです!
その友人から聞いたのですが、ドアが壊れていないと保険がおりないそうで、もし被害にあってもドアが無事だったら警察を呼ぶ前に自分で壊せと言われました。
Posted by shiba at 2005年09月06日 08:44
>Shibaさん
ドアを自分で壊せとは強烈ですね。僕のトルコ人の同僚は、寝ている間に被害にあったそうで、多分催眠スプレーか何かをかけられたのではないかと話していました。家中ひどく物色されたのに夫婦でまったく気がつかなかったそうですから・・・。重たい金庫ごと現金やお祝いの「金」が盗まれたお家もありました。
Posted by ムフテリフ at 2005年09月06日 21:22
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